Yuri

サヨナラまでの30分のYuriのレビュー・感想・評価

サヨナラまでの30分(2020年製作の映画)
3.8
物語の完成度としてはこれまでのティーン向け青春音楽映画の中ではちょい上くらいでずば抜けて良かったわけではないです。でも、新田真剣佑の圧倒的な存在感、北村匠海演じる颯太のアキを凌ぐ歌声、新田さんと北村くんの関係性だからこそ作り上げられた、体交代の際のアキの完コピと、本作でクリアしなければならない点をすべてクリアしていて、さらにテクニカルな部分で二人が作品の出来をぐっと押し上げていて、やるなぁと、二人の実力派俳優にあらためて驚かされました(^^)その一方で、二人の存在感や演技力が圧倒的だからこそ、バンドという全体を見渡したところで、バンドメンバーの存在感のなさや久保田紗友の女優としての魅力がパワーバランス的に弱かったです。アキはこんなイケメン幽霊なら憑りつかれてもいいよっていうくらいまぁキラキラしているのですが、颯太にまとわりつく感じがまさに憑霊そのもので(笑)、これは普通に怖いなとホラー映画に片足突っ込んでいる感じが面白かったです。アキの無敵モードから寂しさ→諦め→成仏までの心情変化がとても繊細に表現されていて、「変わって」の言い方ひとつで色々な感情が伝わってきて、切なくて胸が締めつけられました(何ならちょっと思い出して泣いちゃいそう)。観終わってから、アキの切ないシーンばかり思い出すので、新田さんは余韻を残す俳優さんだなぁと(^^) 楽曲は表題曲も良いですが、「stand by me」が北村くんの歌い方とマッチしていて一番好きでした。新田さんは役作りで粗削りなパフォーマンスにしたそうですが、普段、もっと上手いので、もう少し上手く歌ってしまっても良かったと思います。でも、二人ともさすがにそこらの音楽映画とは別格で上手いです。入れ替わりがデジタルな感じも萩原監督っぽい今っぽい感じで新しかったです。アンバランスな魅力があり、終わった後にやっぱり劇中歌は全部聴き直したくなる作品です。
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