真面目で寡黙な兄と
おおらかでイマドキの弟
傾きかけた家業を継いで田舎に残る兄と
何かを求めて都会に出た弟
認知症の母を一人で介護する兄と
"結婚する"とふらりと帰省する弟
兄と弟の関係性はずっと変わらない
二人で父の大切な竿を携えて釣りに行ったあの頃と、何も
変わったのはなんだろう
自分をわからなくなった母の相手に疲弊した兄の心か
秘密を抱えて戻った弟の心か
男女の違いはあるけれど
自分と妹に重ね合わせて観てしまう
真面目でイイ子だった姉
自由でちゃっかり者の妹
変わったのはなんだろう
父の死によって進路を変更した姉か
父の死など関係ないとばかりに家庭を築いた妹か
遠くにいても近くにいても
互いを理解しあえているような気がするけれど
時の流れとともに変わってしまったものを
そっと撫でるように感じとることができれば
映画館でスクリーンを観ずにラジオドラマを聴き、本編、番外ドキュメンタリー、トークショーという流れで
たっぷりと中村屋の空気を堪能
藤原季節さん、長尾卓磨さんの人柄に和む
監督の24歳という若さに驚き
閉店するロケ地の酒屋さんを追ったドキュメンタリーは
それだけでも一本の映画になる
離れて暮らす妹に想いを馳せながら外に出ると
すっかり秋も深まった新宿の街がそろりと寄り添ってきた