かろ

中村屋酒店の兄弟のかろのネタバレレビュー・内容・結末

中村屋酒店の兄弟(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

最初、音声のみのスピンオフのラジオドラマ10分間、目を閉じて観ていた。映像がありありと浮かんだ。どんな卓を囲んでご飯食べてるんだろうとか、兄弟2人が夜言葉を交わすのは襖を隔てた部屋なのか、同じ部屋で眠っているのかとか。車で父と兄弟3人、釣りから帰る車の座る位置は誰がどこなのかとか。そもそも釣りをしていたのは川なのか海なのかとか。
映画が始まって、冒頭のドラマで自分が頭に描いた映像と答え合わせをしつつ。
父親がいない理由、弟が東京に行ってから兄と母がどのように暮らしたのか、弟も東京でどのように暮らしたのかは描かれない。映画で描かれたのはただ一時、カズマがふらりと戻ってきたあの期間にあった出来事。そしてそれ以降も描かれない。
間の過去がないからこそ2人の間に確かにできてしまった距離をどちらかに肩入れしたりせず見られたし、煙草吸って酒呑んで食事をして、段々とラジオドラマでの2人に戻っていくような空気を見つつ、でも確かにあの時は違う何かもあって。
その悲哀と2人の関係に尊さを感じた。
観てる間にこの空気感好きだなあ…って何回も思った。
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