KARIN

ソワレのKARINのレビュー・感想・評価

ソワレ(2020年製作の映画)
3.3
切なくも美しい逃避行。

若者の逃避行といえばかなり解放的な、スカッとする展開を予想してしまうけど、この物語ではそうはいかない。そこはかとなく漂う閉塞感のほうが支配してる。

ここはアメリカじゃないから。広大な土地は用意されていないから。
「逃げる」ことと「自由」が繋がらない。山に登ったら降りなければならない。日本らしい感覚がここにあるのかも。

村上虹郎のリヴァーフェニックスみたいな、線でつながれた演技が良かったなあ。身体の使い方が滑らかで、動きを追うだけでいい映画体験したなって思わせてくれる。芋生悠のリアルで、訴えかけてくる演技も好きだった。

自分はダメだ、終わりだ!って崩れ落ちる、一歩手前の綱渡り。

拒絶の水、寛容な水。
流れることの簡単さと残酷さ。
堰き止められた思いが流れていくこと。

あやうさと暖かさを、自然とともに体験できた作品でした。
KARIN

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