ドーナッツ

少年の君のドーナッツのレビュー・感想・評価

少年の君(2019年製作の映画)
4.0
いじめに対して、貧困格差、ストリートチルドレン、受験戦争、警察の権力、などさまざまな社会問題を盛り込み、切り込んでいった作品。
社会に対して、強い意志を持ってメッセージを伝える映画が今年は多い気がする。

まずはオープニング。ここに全てが集約されていたと思う。回想シーンの始まりなのに期待させない感じ。安易にlikeやfriendなどをチョイスしないところもよかった。

冒頭にて、自殺事件を主導する後輩警察官は怒りを抑えられない。それを見るに見かねた先輩警察官が現在のいじめはやばいから覚悟しておけ、と忠告していたが、観客に対してる忠告でもあったと思う。
それを軽く上回るレベルのいじめが繰り広げられていたから。
ただただ酷すぎてとても観ていられるものではなく、映画自体を観ていることを後悔した瞬間もあった。
子どもだからこ歯止めがきかない手段の数々。もはや犯罪だった。

警察官の行動に正も悪も見えたり、エンドクレジットで良くも悪くも現実を見せられたり、などいろいろと考えさせられる作品だった。"白夜行"っぽさはどことなく感じた。

パンフレットで主演のチャン・ドンユイだけでなくスタッフも坊主にされたエピソードを読み、ほっこりできたのが唯一の救いだった。
紙袋ではしゃぐシーンは微笑ましかったけど、不安と表裏一体だったから安心はできなかったよ…

近くの席にK瀬Rさんがいて、改めて注目度の高い作品なんだなと思った。