mimicot

少年の君のmimicotのレビュー・感想・評価

少年の君(2019年製作の映画)
4.2
人間は2種類
"いじめる奴と、いじめられる奴"
この世界がそんなふうに見えていることが悲しかった。

未来を大きく左右する中国の大学入試。
極端な経済格差と過酷な受験戦争。そして親の期待と熱血な教師たち。
熾烈な戦いの中で、きっと部活も恋愛もないだろう。彼らの生きる目的は「合格すること」
パンパンに膨らんだプレッシャーとストレスが他人を傷つけるのだ。

誰かがを"彼女"を発見し、スマホで写真を撮ると、一斉にスマホを通した視線が"そこ"に集まる。
いじめも同じ。
ドミノ倒しみたいに一気に同じ方向へ向かう人間の同調は、モラルを問う行為です。

"ストレスが生んだ壮絶ないじめ"

目立つ事はしなくていいから、こっそりでいいから、誰か先生に言ってあげて。。

この映画にこんなに惹きつけられるとは思っていませんでした。
こんな話だっただなんて..危うく観ないで通り過ぎるところだった。

別世界に生きる孤独な二人が運命的に出会い、互いに孤独な魂を温めてゆく。
「君が世界を守れ。俺は君を守る。」
不良少年の包容力と優しさに恋してしまいそうです。
プラトニックな純愛..この残酷な世界で手を取り合って生きていく彼らの姿に心を揺さぶられないわけがない。

いつか、並んで表通りを歩いて欲しいです。

いじめや暴力は現実なんだということが実感させられる作品でした。
今、どれだけの人が精神的に、肉体的に辛い思いをして生きてるのだろう、心が痛みます。
mimicot

mimicot