このレビューはネタバレを含みます
〈少年の君〉は、公開当初から評判になっていた映画です。
見に行こうかと思っていたのですが、イジメが題材ということで
躊躇していたところ終わってしまいました。
今回同じ監督の〈ソウルメイト〉が良かったので思い切って鑑賞
すごくよかったです、なぜ映画館で見なかったんだろう、後悔しています。
チェン.ニェンとシャオベイの純粋な恋を軸にしながら
はびこるいじめ、中国の過酷な受験戦争、ストリートチルドレン、格差社会などの社会的な視線もバランスよく盛り込まれていて
見ごたえのある映画になっています。
中国の受験ってこんなにも凄まじいの?
各生徒の机の上に積まれた参考書の山や生徒全員で叫ぶ(叫ばされる?)
「両親のために必ず通る!お世話になった先生のために必ず通る!頑張るぞ!」
と言うシュプレヒコール
先ずそれにびっくりでした。
貧しい状況を脱しようと受験勉強に励むチェン.ニェン
彼女も心にたくさんの傷を抱えています。
ふとしたことで知り合ったストリートチルドレンのシャオベイも
それは同じ。
惹かれあう二人ですが、それがもう本当にピュアでキラキラとしていて
胸が痛くなるくらいの美しさでした。
環境が過酷な中でそこだけが唯一の救いであり、
それだからこそそのシーンが余計に心に沁みこんできました。
後半は思わぬ事件にサスペンスの要素も入り込んでますます目が離せなくなります。
何とかチェン.ニェンとシャオベイの二人を救おうと奮闘する若き刑事も魅力的。
この人がいなかったら2人に明るい未来はなかった。
繊細なカメラワークや劇伴も美しい。
主役二人の細やかな演技にも目を見張るものがありました。
シャオベイ役のジャクソン.イーの悲しみや愛を訴える瞳の演技に心を持っていかれます。
プロローグにいじめに対するコメントが流れます。
エピローグには、爽やかな主役の二人の未来の姿が。
それに疑問を投げかけるレビューもありましたが
私的には良かったです。
特にエピローグの場面はいじめを受けても過酷な環境の中で生きたとしても
未来があると思わせてくれる気持ちの良いシーンだと感じました。
監督としては検閲に通るために作ったシーンであったかもしれませんが。
今年観た映画のベスト。