がらがら

スーパー30 アーナンド先生の教室のがらがらのレビュー・感想・評価

4.5
「王の子だけが王になれる」金持ちの子だけがいい大学に行けるというインドの教育事情に立ち向かった先生の話。

大好きな映画『クイーン 旅立つわたしのハネムーン』のヴィカス・バール監督最新作ということで期待値高めで鑑賞。期待通りの面白さ。

やっぱりインド映画は面白い。実在する先生の話なのに、フィクションとしか思えないほど濃いエピソードが盛り沢山。脚色はもちろんしているようだけど、結構な部分が事実なようでびっくりする。これはどう考えても映画的脚色をしたシーンだろうなって展開もあって、普通は実話モノで明らかに脚色と分かるようなシーンを入れられると冷めることが多いんだけど、あまりにも堂々と入れてくるせいか気にならない。(インド映画あるある)

インド映画お得意のミュージカルシーンは少なめ、でも少ない分印象に残るシーンは多い。特に予備校の前で生徒たちが演劇をする時のミュージカルシーンは今作最高のシーンで、正直そこに至る主人公の指示はめちゃくちゃなんだけどあまりのエネルギーに感動せざるを得ない。インド映画を何本も見てきたけれど、ミュージカルシーンで泣かされたのは初めてかもしれない。

あと、チラシを見て主人公の塾に子供たちが向かおうとするシーンは、腕に覚えがある地方の強者たちが集まるバトル漫画のようなカッコいい演出なのが熱い。

拾ってくれた予備校の社長への不義理や、あまりにも甘すぎるお金の見通し、予備校との対決の結末など引っかかる部分は結構ある。この辺は事実なのか脚色した結果そうなったのかはよく分からない。お金に関しては、インタビューを読むと寄付金の提案は結構あると話しているから、当時も有名になってからはそんなにお金に困ることは無かったのかも。

『きっと、うまくいく』『地上の星』『ヒンディー・ミディアム』など、インド映画は教育を題材にすることが結構多い。『きっと、うまくいく』は大学入学後の話だから今作のその後という観点で観ると面白いし、『ヒンディー・ミディアム』は”貧困と教育”というテーマが共通しているからセットで観るのがオススメ。
がらがら

がらがら