映画初心者

アウシュビッツの会計係の映画初心者のレビュー・感想・評価

アウシュビッツの会計係(2018年製作の映画)
3.9
ドキュメンタリー作品。反戦争派、反ナチス派のドキュメンタリー。ドキュメンタリーで地味になるかと予想していましたが、するすると進んでいく展開に引き込まれました。

93歳の元アウシュビッツで働いていた老人に対して罰を与えるべきなのかを焦点に、ヨーロッパの現状や過去の裁判を織り交ぜながら、この問題に切り込む。

極右集団のネオナチが勢力を増しているヨーロッパという現状を織り交ぜることで、過去のことではなく、現在にも地続きの内容として取り扱っていたのが良かった。過去の証言で、驚いてしまう内容があった。
・双子の方が収容所で好まれた。なぜなら、人で実験する際に、対照実験が可能になるから。
・泣いている赤子を列車の側面にあてて泣き止ます(殺す)

フィクション要素のある「戦場のピアニスト」で親が子供が何も言わないように口を塞いだけれど、時間が長すぎて窒息死してしまったことが描かれていたが、実際にそれと近いことがあったのだなぁと思った。

また、アウシュビッツの記録館で、ナチスによって殺された人々を記録した名簿が巨大で、高さ2m、横10mぐらいあり、そのインパクトが絵面として凄い印象的。

どの国でも過去と折り合いをつけられない、という言葉が印象的。日本でも実際にそうですし、ヨーロッパでもそういう問題が残っていることが明確にわかる内容だった。

裁判の内容として激動というわけではなく、その周囲の人物を掘り下げていくことで、この裁判の重要性を理解させる内容、少し速足のスピードで勢いが良かった。(人をバラエティ番組のように小馬鹿にする一連のシーケンスは不要だったとは思う)
映画初心者

映画初心者