EDDIE

ザ・プロムのEDDIEのレビュー・感想・評価

ザ・プロム(2020年製作の映画)
4.4
都会のピークを過ぎたミュージカルスターたちが田舎のセクシャルマイノリティ女子高生を救うべく立ち上がる!近年のミュージカル映画の中でも屈指のクオリティと楽しさ。役者たちみんな楽しそうでこちらまでワクワクする。

またもやNetflixオリジナル。いやはや昨年ほど話題になる勢いある作品は少ないものの、本作は間違いなく高クオリティで面白いミュージカルでした。
何と言ってもこの作品を観ると笑顔になれるんですよ。ワクワクするんですよ。

キャストはメリル・ストリープ、ジェームズ・コーデン、ニコール・キッドマンという大スターが揃い踏み。
私の中でディーディー役を演じたメリル・ストリープは『プラダを着た悪魔』で止まっているので、本作で彼女のイメージが一新。めちゃくちゃ好きになりました。

で、この作品で特に存在感を放ったのはジェームズ・コーデン。舞台俳優としてピークが過ぎ去った1人のゲイのバリー役なんですが、どちらかというと完全にオネエよりのゲイ。よもや普段からそうなんではないかと思わせるぐらい役作りが徹底されています。
彼がセクシャルマイノリティとして苦労した経緯があったが故、インディアナの女子高生が女同士のカップルでプロムに出ることを禁止された記事を見て居てもたってもいられなくなったわけです。
もう彼、いや彼女の演技に説得力がありすぎて、後半の母親エピソードは涙なしには見られません。

そして、ニコール・キッドマンの麗しさたるや。彼女は前述の2人と比較するとまだまだ夢半ばの現役ではあるんですが、逆に花が咲かない二流役者なんですね。
まぁ彼女の存在感を見るに二流とは無理があるだろうと思うんですが、彼女が女子高生エマ役のジョー・エレン・ペルマンと共に“Zazz”のミュージカル演目をやるところは必見。もうキッドマンの色気がムンムンでヤバいです。

で、メンバーにはもう1人トレント役のアンドリュー・ラネルズがいるんですが、彼がいい味出してるんですよね。他の3人に比べるとネームバリューも低めですが、『マイインターン』や『シンプルフェイバー』にも出演している実力派。
確かにどこかで見たことある顔なんですよ。
実生活では彼はどちらかというとブロードウェイで活躍しており、舞台版の『ヘアスプレー』や『ジャージー・ボーイズ』に出演した実績があります。『ブック・オブ・モルモン』という舞台ではトニー賞とグラミー賞ミュージカル部門のダブル受賞をしている実力派なんですよね。
本作では舞台で活躍するディーディーとバリーと対比的に、トレントはドラマで活躍する役柄ということで一般認知度が高いという実際とは逆の立場を表した演出があったのですが、そこはつい笑っちゃいました。

本作の本筋としては、インディアナ州の女子高生エマが同性愛者が故に不遇の扱いを受けているわけですが、エマの恋人のお母さんがPTAの会長ってところがまた話をややこしくしているんですね。
ただ学校を説得すればいいという話ではなく、諸悪の根源はPTAという部分が面白いなと。
たとえ学校側に理解があってもPTAがそこに理解を示さなければ延々と煩く言われてしまい、しかも本作のようにプロム禁止なんてことになってしまう。さらには恋人のお母さんなわけですからね。

LGBTQ問題を真正面から追及した作品で、結末部分がとても心地の良い終わり方をするので余韻がとてもいいんです。まぁ最後恋人のお母さんと恋人のアリッサの和解はちょっと無理矢理感ありましたが。

繰り返し観たい気持ちも芽生え、劇場で観なかったことを後悔したほど。まだ上映中のようなので、チャンスがあれば劇場に出向いてみようと思います。とても良いです。
近年の『グレイテストショーマン』や『ラ・ラ・ランド』に匹敵するレベルで語り継がれてもいい作品だと感じた次第です。

※2020年自宅鑑賞318本目
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