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ザ・プロムのYHのレビュー・感想・評価

ザ・プロム(2020年製作の映画)
4.5
ストーリー自体は今の世の中ありふれたLGBTQの話で、人物像も平面的。
映画としては限りなく凡作に近い。

…が、ミュージカルファン(若しくはミュージカル映画のファン)ならドキドキが止まらない一作に変わる。

映画の主人公たちからしてそうだ。全員ミュージカル映画に出演した経験があり、アンドリュー・ラネルズは元々本業がミュージカル俳優(しかもトニー賞を取った)ではないか。(何年か前からブロードウェイのあらゆる記録を塗り替えている問題作、TBOMのオリジナルキャスト、しかも主人公。ここでの相方が最近ディズニー系で大活躍中のジョシ・ギャドであることを考えると…)

(ちなみにメリル・ストリープはマンマミーアで、ジェームズ・コーデンはキャッツで、ニコル・キッドマンはムーラン・ルージュでミュージカル映画は経験済み。)

映画のナンバーも既存のミュージカルのナンバーをアレンジしたものが多く、既存のミュージカルのシチュエーションや設定、俳優本人のエピソードなども映画に溶け込んでて、まさに「ミュージカルファンのためのプレゼントボックス」みたいな作品だった。

シカゴの最も有名なナンバー「All that JAZZ」を、ほぼそのまま使った(音程を少し変え、歌詞も少しいじったくらい)場面や、TBOMの主人公、アンドリュー・ラネルズが神様の教えを歌う場面などは始終ニヤニヤしていた。

主人公の一人のアンドリュー・ラネルズ本人がゲイであることもあり、LGBTQへの触れ方もある線を超えず節制されていたと思う。

色んな意味で楽しませてもらった作品だった。



追記。
曲とキャストはすごくいいけど、内容的に少し残念なのって、なんとなく既視感があったが、監督がグリー映画版の監督か。

じゃ、仕方ないか。
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