ShinMakita

ブラック・レインのShinMakitaのレビュー・感想・評価

ブラック・レイン(1989年製作の映画)
3.0
☆33回忌・松田優作…過去鑑賞から


ニューヨーク。市警刑事ニック・コンクリンは、立ち寄ったダイナーで殺人を犯した日本人ヤクザ・佐藤を逮捕した。そして上司の命を受け、相棒チャーリー・ビンセント刑事とともに佐藤を大阪へ護送することになる。しかし空港で佐藤の身柄を引き渡したのは、警官に扮装した佐藤の部下だった。佐藤を逃亡させてしまった失点を挽回すべく、ニックとチャーリーは府警刑事・松本とともにその行方を追う事に・・・




*************************************


言わずと知れた『ブラック・レイン』です。今回は優作さんの命日に合わせて、BDで観賞しました。廉価で発売されたこの日本版BD、やはり特典映像が大きなセールスポイント。オーディションで凄みを見せる優作さんの映像も入ってます。


メイキングとリドスコ解説コメンタリーも堪能したのですが、今回の日本ロケ、けっこう気合いが入っていることが判りました。元々あった脚本をマイケル・ダグラスが気に入り、ジェッフェ&ランシングという製作者コンビに話を持ちかけ、製作が始まったそうです。リドスコはいわば雇われ監督だったのですが、一度引き受けたからには、光と映像のコダワリは細部に至るまで彼のモノになっていましたね。ご存知のとおり<クラブ都>はオールセットで、クライマックスの親分集合の民家はナパバレーのブドウ畑。リアルな日本描写ではないにせよ、リドスコ独特の映像センスが溢れていて、合格点だと思います。一見「これ日本ロケだよね」な部分・・・例えば団地の松本の部屋はセットなんですよね。小道具や家具の配置が、ちゃんと日本の住宅っぽくてよかったです。ちなみに団地の外観は横浜ロケだそうですよ。

日本人出演者たちの証言も、とても貴重で楽しかったです。

・ガッツ石松・・・初対面で、いきなりリドスコに「ちょっとイレズミ見せてくれない?」と言われ困惑。どうやらガッツを「本物」と思ってたらしい。

・島木譲二・・・灰皿で頭を叩くギャグ(ポコポコヘッド)をマイケル・ダグラスの息子に披露したら、「クレイジー」と言われたとか。

・小野みゆき・・・当初、彼女の役は「菅井」の娘で「佐藤」の婚約者という設定だったとか。

・國村隼・・・LAでの撮影中、よく優作さんと食事に行って、「映画愛」を熱く語られていたとか。映画初出演だった國村は、当時、その話を聞いてもピンと来なかったが、今なら解ると述懐。

・シェケナベイベー・・・誕生日にリドスコからケーキ貰ったとか、通訳無しでリドスコと渡り合ったとか、自慢話に終始。


・・・って感じです。

ただ裕也さんも、爆笑インタビューの最後に泣かせる話をしてくれました。東京国際映画祭で「ブラック・レイン」初お披露目の日、舞台挨拶直前に「具合が悪いから」と帰ろうとした優作さんを引き止めたんだそうです。しかし優作がどうしても帰るというので、「じゃ、また電話するよ」と声をかけると、「いや、もう、電話はいいよ」と優作は言い残し去って行ったそうです。「俺、何か優作を怒らせること言ったかな」と悩んだ裕也さんでしたが、その直後の訃報に接し、優作さんの言葉の意味を理解したのだとか。
ShinMakita

ShinMakita