これは硬派なサスペンス。2017年にアメリカは「オピオイド危機」を宣言し、サックラー一族が率いるパーデュー・ファーマなどが破産法適用申請に追い込まれた。
本作はアメリカにおけるオピオイド濫用と密輸の実態を、DEAの潜入捜査官(アーミー・ハマー)、製薬会社に不利な実験結果を告発する学者(ゲイリー・オールドマン)、薬物取引に絡み、息子を殺害された元濫用者(エヴァンジェリン・リリー)の3者のドラマでたどる群像劇である。
全編にわたり抑制的で、専門用語も多い(ここが気になって鑑賞したが)ので、一般的なスリラー映画とは異なる社会派だが、その骨太さが気に入った。なお、ハマーの妹役でリリー=ローズ・デップ、上司役でミシェル・ロドリゲスなどが出演する。