ぽち

クライシスのぽちのレビュー・感想・評価

クライシス(2021年製作の映画)
2.9
演出のもたつきと群像劇という事もあり、分かりずらい所やキャラを描き切れていない所もあるが、依存症への警告としてメッセージは的確に伝わってくる作品。

なのだが・・・・・

なんとなく既視感が気になっていたのだが、wikiを見て納得。
確かにスティーブン・ソダーバーグの「トラフィック」と類似点が多い。って言うか、そっくり。これはかなり致命的。

「トラフィック」を知らなければ上記したような感想で良いのだが、さすがに似すぎてるかな。

もちろんパクリではないのは分かるが、制作陣のリサーチ不足は確実だろう。
知らずに偶然同じようなものを作ってしまったと好意的に見ても、では元より良い出来かと言うとこれは残念。って感じ。

しかし、見所はあり、良い役者の演技は存在価値があるだろう。特にオールドマンとグレッグのぶつかり合いは素晴らしく、見入ってしまう良いシーン。

笑い所は、捜査官のジャンキーな妹を「目の下クマメイクがどことなくジャック・スパロウ」ってとこかな。

テーマは明確だが少しステレオタイプで描きすぎなのが気になる。
役者や演技に集中して観ると楽しめる作品だ。


余談。
テーマを明確に出すためのステレオタイプだとは思うが、リアリティには欠ける。

正義感から告発する教授。金儲けのために事実を隠蔽する製薬会社。
あまりに分かりやすくてまるでヒーロー戦隊ものの善悪の描き方。

例えば少し触れていたが、リスクもあるがその新薬で助かる人もいることを見落としてはいけない。
今作での設定では30日以上続けなければ依存性は1/4。要は使い方を間違わなければ多くの人を助けることが出来る薬ではあるわけだ。

キャラや描き方を変えてみよう。
苦しむ人々のため新薬の開発に命を懸ける製薬会社のCEOに対して、大学への不満を募らせた教授が、動物実験を既定の日数より長くすることで新薬にとって不都合な結果をわざと作り出し、売名行為として告発をした。

ま、どっちも極端な描き方だね。
ぽち

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