ほおづき

劇場のほおづきのレビュー・感想・評価

劇場(2020年製作の映画)
5.0
たぶんスタッフも意図的にやっているのかもしれないけど、主人公にちょこちょこ又吉さんぽさを感じた。
実際、彼にもこういう時期があったのかもしれないなと想像して、こういう女の子ってヒモ気質のある男性から逃げられないよなぁ・・・と妙なリアルさを感じたりもした。
       
そんな松岡茉優さん演じる主人公の彼女が終始本音を語らない子。パッと見、優しくてなんでも許してくれるほんわかしたいい子に見えるが、友人たちと同じような、いわゆる普通の人生を歩もうとして、そのためには本音を語らないで夢や自分を殺してでも小さな自分の世界を守ろうとしている、そんな子だったように見えた。
   
一度だけ・・・
ほんの一度だけ
お酒の力を借りて怒りに任せて怒鳴るところがある。多分そのとき以外は、ほとんど本音や自分のことを彼氏に言ってこなかったんだろうなぁと思ってつらい気持ちになった。
 
そういう人物だったからこそどうしてもラストでの、変わってしまった自分といつまでも変わらない相手を比較するセリフも本音じゃないんだろうなと思って、精一杯の”きれいごと”にしか聞こえなかった。
彼氏の気持ちを第一に考えてしまう悲しいまでにほんとにやさしい子。
   
そういうとこも含めて結局最後まで分かり合えない二人の悲しい物語だったなと感じ、もう少ししっかり二人の内面を知りたくなって・・正直『火花』を読んでこっちはもう読まなくてもいっかなと思ってたけど、おすすめされてなんとなく観てしまったこの映画のせいで原作も読みたくなってしまった・・・
   
結局、男がヒモになってしまうんじゃなく
女がヒモを作り上げてしまうのかもしれない。