がちゃん

雁の寺のがちゃんのレビュー・感想・評価

雁の寺(1962年製作の映画)
4.0


自分の過去を恨みながらも、
その運命に逆らえずにいた少年が、
静かにその情怨を爆発させ、
完全犯罪を企てます。

庭にそびえる大木の意味を、
女に聞かせる場面が静かなタッチながら熱い。

襖絵に描かれている雁の絵が、
物言わず雄弁に物語っている。

少年が先生に、、

自分を知ること?

悟りとは何?

罪とは何?

と畳みかけるシーンはすごい。

ベルイマンの神と人間との対峙に迫るものがある。
ニヒリストである川島監督は、
この重いテーマを提示したまま終わるのは照れたのだと思われ、まったく予想だにしないエンディングを迎える。

これは映画のオリジナルであろう。
全編にわたって、
若尾文子の艶っぽさが際立っていて、
この作品に重みと説得力を与えている。

やっぱり川島監督はいいなあと、
改めて感じることのできる作品だと思います。
がちゃん

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