がちゃん

河内カルメンのがちゃんのレビュー・感想・評価

河内カルメン(1966年製作の映画)
3.9
今東光の原作を鬼才鈴木清順が演出。
野川由美子演じる女カルメン露子が、
男を翻弄し翻弄されながらたくましくのし上がっていく姿を描く。

河内の田舎で百姓の娘露子は、工員として働いていたが、
ある日近所の悪ガキどもに輪姦されてしまう。

露子は、大学生で紡績工場の御曹司に思いを寄せていて、御曹司のほうも好意を抱いていたが、付き合うには至らず、露子は大阪へ。

大阪でキャバレーのホステスとして働いていた露子だったが、
その美貌に目を付けられファッションモデルに。

その後大阪で再開した御曹司のために、
露子は金貸しの妾に。

金貸しにブルーフィルムの出演を強要され、
対価として露子は大金を得るのだが・・・

情けない男にはすぐ情が移り、強い男には反発して翻弄する露子を演じる野川由美子が魅力的。

信用金庫に勤めるある男は、露子のために会社の金を着服してまで露子に貢ぎ、ヒモ同然に露子の部屋に転がり込んでくるのだが、
あっさり露子は同棲したりする。

でも初恋の相手である御曹司には純情で、一途に思いを寄せるものの、
結局はひどい仕打ちを受けてしまう。

家庭環境も劣悪で、
母親は金のために父親公認で坊主に抱かれる。

母親の身体に飽きた坊主は、
これまた母親公認で露子の妹を抱いたりする。
酷い奴なんだ。

いろんなことがあり、男に踏みにじられて、そして男を踏み台にしてのし上がっていく露子の姿は爽快でもあります。

鈴木清順監督作品だから、
らしいカメラアングルや実験的な演出もいっぱい。
映画好きにはたまりませんね。

昭和40年代前半の大阪のキタやミナミなどの歓楽街が観られるのも、
記録的価値があって貴重。

心地よいテンポで進み、製作された時代ではギリギリだったであろうお色気シーンもふんだんに、清順ワールドさく裂です!
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