これは難解な映画だよなぁ(笑) でも、知的探究心を刺激しまくる映画で、前提知識があればあるほど興味深いものになってくる。
Netflixで観てるので、途中で止めたりして、当時の時代背景や登場人物のことをネット検索して、情報補完しながら観るという鑑賞方法を取ってしまいました(^^;
下地になる『市民ケーン』については、孤独な男の物語として僕も好きで、技法的な部分などでの後世の映画への影響力は理解してるつもりで、2ヶ月前くらいにも1回観直したんですよね。
ただ、『市民ケーン』の内容以上に、当時どういう扱いを受けていた映画で、どのようにして作られたかということの前提知識が必要で。
そこにさらに、当時のカリフォルニア州知事選という政治的背景までも大きく絡むとはね…。
正直なところ、いろいろ調べてみて、脚本が書き上がったあたりからようやく楽しく観れました、という感じでした。
『市民ケーン』を観てないことは論外で、観てたとしてもちゃんと内容を覚えてる必要があるし、そこにさらに時代背景の知識も必要と。
なかなか難度が高いんだけど、それだけ複雑な構成であるぶん、語るべき部分の多い作品になっていると思います。
対権力へのクリエイターの抵抗という点では、歴史は繰り返されるというか、普遍性のある強いメッセージを感じました。
このあたりが、父による脚本で、フィンチャー監督が今あえて映画化した理由でしょうね。
あとは、全編が『市民ケーン』へのオマージュに見える美しいモノクロ映像。始まった瞬間から、見惚れてしまいました。ローアングルがやっぱり印象的。
デジタル撮影だけどフィルムのパンチ跡を入れてるといった細かさもあり、クラシック映画を観てる風によって強い作家性を感じました。
オスカー獲ったら改めて観直そうかな(^^)