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ザ・ハントのpluviaのレビュー・感想・評価

ザ・ハント(2020年製作の映画)
3.5
アメリカの今を象徴的に描いたリアリティ。

映画の事前情報として読んでいたのは、
Democratic Party (民主党) vs Republican Party(共和党).
白人エリート vs トランプ支持層.
ヴィーガン vs 多食
…ような裏テーマとかがあるらしいこと。劇場公開が延期になったほどの問題作とか。

鑑賞してみると、
キャビアは食べたと言っていた時点で、ハンター側の男性はヴィーガンではなくて…。
眼球だらーん、これはただのバトルロワイヤルの予感。
銃に飛びつくあたりはRepublican支持者っぽいと思いましたが、あの状況なら誰でも防衛したいのが本能とも思いますし、社会派っぽい匂わせの多用なのかと疑いながら見続けると…。
ラストには意外性ありで、解釈に幅を持たせている感じが良かったと思いました。

何事においても盲信することの恐ろしさに、警鐘をならしているのかもしれません。

フェイクは人間界の構造そのものという前提に立って観ると、普通の日々を象徴化した映画とも思えました。『ゴッドファーザー』が、アメリカ社会の具現化だったように。

そして鑑賞後2ヶ月が経過し、この気味悪い映画がどれほどリアルかを痛感するはめになっています。

良く言えば日本語に守られて(悪く言えば英語圏の情報が自然と遮断されやすくなって)いて、陰謀論者の攻撃的な言葉もフィルタリングしてくれている状態なので、この映画のリアリティが皮膚感覚ではない人も多いかと思います。
ここ最近、ある動向を見守るために敢えて何度かアンチ派陰謀論者の発信を読んでいますが、その度にゾンビとの遭遇のような体ごと噛み千切られそうなほどの支離滅裂な怖さを感じます。
肌感覚でこの映画だと思いました。

当初不思議だったのは、陰謀論者側がハントされる側であることだったのですが、彼らの誇大妄想への依存と攻撃性を強めている原因が危機感である側面を踏まえると、あながち狩られる側と狩る側の構図が(彼らにとっては)間違っていないように思えました。
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