このレビューはネタバレを含みます
この映画の注目すべきポイントはバスの中でシャンチーに襲いかかるウェンウーの部下、レーザーフィストの存在なのである。
バス戦ではペンダントを奪ってしっかりと仕事をこなすレーザーフィスト。
自ら現場で戦いながら、ウェンウーの右腕として、部下への司令塔として、一行の監視役としても働く中間管理職のレーザーフィスト。
恐らく、ウェンウーの強さと優しさに忠誠を誓ったのだろう。冷静さを欠いた指令には懐疑的な表情を見せる。どう考えても悪い人には思えないレーザーフィスト。
お世辞にもカッコいいと言えないカスタムカーを大切にするレーザーフィスト。萌ポイント。
一度は村民と敵対するも、真の敵を知覚した途端、共闘を誓うレーザーフィスト。
勿論この判断は自分以上に部下を守るため。
そして指示を出された事が全てではなく、彼の中に正しさがある証拠である。
そして、村で造られた新たな刃を装填する。
そう。このシーンは彼がこの村の価値観を、アジア人の文化を分かち合うことができたメタファーなのだ。ウェンウーの手を離れ、彼は成長したのだ。
ラストではシャーリン率いる新生テンリングスの中間管理職を務めている。
父であり師匠であったウェンウーの死をいたみ、彼の残した想いと、彼の娘を守ることを誓ったのだ。
唯一の白人キャストという特異な存在であるレーザーフィスト。そのプレッシャーの中で魅力的な存在として確立できた彼と、彼をのびのびと演じてくれたフロリアン・ムンテアヌに賛辞を送りたい。