ウスバカゲソウ

シャン・チー/テン・リングスの伝説のウスバカゲソウのレビュー・感想・評価

4.0
最初の予告編見たときは「MCUも遂にやってしまったか?」と焦ったが、全くの杞憂だった。
それくらい凡庸で平板な予告だったのは確か。
本編は見せ場満載で、コミカルでエモくてアガるいつものMCUクオリティだった。
予告編も編集次第。
見せ場がほとんど出ていた『ブラック・ウィドウ』や『ザ・スーサイド・スクワッド』と違って敢えて情報開示を制限していたのも大きい。

クオリティはいつものMCUだったけど、キャストのほとんどがアジア人で構成され、監督と脚本もアジア系というかなり新鮮な顔ぶれ。
主役のシム・リウは映画ではほぼ無名、妹役のメンガー・チャンは新人。
オークワフィナがヒロインキャラで、新世代のキャラクターたちのフレッシュさよ。
一昔前のハリウッドではまずあり得ない。
ジャンルもカンフー、ジャッキー、武侠、中華ファンタジーとアジアアクションの満願全席に加えてのロマコメ感。
トニー・レオンがまさかMCUのヴィランになるとは。
アクションがキメキメでカッコいい反面、碇ゲンドウ的拗らせ親父ぶりが哀愁。
持ち味の腕輪アクションが見ていて気持ちいい。
原理が良くわからないが、空も飛べそうと思わせるパワフルさ。
親から子への引継ぎも美しい。
デス・ディーラー謎に強くてビジュアルも最高なのにあの扱いは・・・。
シャン・チーのキャプテン・ファズマ。
マカオのアクションは『スカイフォール』を連想。美しい。
何人もヴィランいてMCUにしては上手く捌いたとは思うが。
レイザー・フィストとの差が哀しい。
中華幻想動物が高クオリティで見れたのは嬉しい。
モーリスモフモフ可愛い。
あとこれは最近の大作に多いけど「めっちゃ長いファーストカットを頑張ってそぎ落としました」感がやはり強い。
スーツの授受、着用とかもっと盛り上げられたでしょ。
オークワフィナの活躍とか。
それでも最適解なのは分かるが。
見せたい画がたくさんあるのも分かるが。
親子関係の縺れに重きを置いたあまりファンタジーパートが短くなったように見える。
デジタルカメラの功罪。

個人的な印象はアジア版『ブラック・パンサー』。
文化的な功績とか舞台設定とかいろいろ類似点はあると思うけど、一番嬉しかったのはエンドクレジットのお洒落さ。
イントロ流れ出しての軽やかなフェードアウトとカラフルで爽やかなビジュアル。
アンダーソン・パークの「Fire in the Sky」。
ブラパンに並みにグッときた。