神々のトロピカル・アドベンチャー。
もはやSFなのかファンタジーなのか分からない領域に来ているソーシリーズ。神々って生物学上では何なのさ?って疑問が湧いてくる。ジャンルミックスのMCUの中でも変な立ち位置にある。
それを誤魔化すためにハチャメチャコメディにしてしまえ!という前作あたりからの変なノリがエンドゲームでのソーデブ事件を越えても続いている。ソーをギャグキャラにしてガーディアンズに入れてしまうと、もはや何者なのか分からないカオスにシリーズが突入。
そんなユルい空気の中で一人だけ、鬼の演技力で気を吐くクリスチャン・ベイルのおかげで空中分解せずに真面目なムードも保つ。もちろんアカデミー女優のナタリー・ポートマンも流石の意地を見せた。意外とノリノリのラッセル・クロウも笑えた。
しかしソーシリーズ自体は新規一転してきたMCUの中では古参で、流石に飽きが見えてきたのも確か。ここら辺でギャグ以外のテコ入れも必要かと思ってきたらキッズの活躍によりジョジョラビット味も出てきて、それは新鮮だった。まさか最後に感動するとは思わなかったので。
でも、そろそろソー自体は古参ゲストにして、大集合の時に美味しい所を持っていく役割にするべきかと思う。
ただ、この蛇足なりかけの新作で個人的に思ったのはMCUの神々への戦線布告。神のような存在に対しての挑戦はフェーズ4に入ってから顕著だったのだが、最近はイスラム教を取り込んだりスパイダーマンにキリストを重ねたりしていると考察していた。
ここで北欧神話からギリシャ神話まで、その他の様々な神々が集まる場も登場し、いよいよMCUは全ての宗教や文化を取り込もうとしているのが伺えると思うのは考えすぎだろうか?
マーベルの最終目標はマーベル・コミックヒーローを神々とした映像作品による聖書のようなものを作ろうとしているのではないかと予想している。ケビン・ファイギは恐らくMCUを観て育った子供たちがいつか世界を変え、ヒーローのような活躍をした時にマーベルヒーローを参考にしたと言わせ、MCUを神話のように語らせるつもりではなかろうか。
そうした時にもしかしたらマーベルは数百年以上語られ続けるかもしれない。そんな夢と野望を感じずにはいられない、聖書の一小節に出てくる伝説のような話だった。