香

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーの香のレビュー・感想・評価

4.0
チャドウィックとのお別れ、フェーズ4の最終作、ブラックカルチャーとしてのアティチュード。
あらゆる意味で「絶対に失敗できない作品」だったといえる今作だが…
結果的には手放しで絶賛と呼ぶことはできないが物語にうねりを持たせた意義のある作品に仕上がったと思う。

カオスの火種を作った当人たちは平穏という名の特権を享受している中、「失い続けている」人たち同士が争い続ける。
しかし、復讐でその喪失の連鎖を断ち切ることはできない。

近作のMCUが悉く微妙な評価だったことも含め、今作で消化させなくてはいけないことがあまりに多すぎたので、かなり難しい作品だったろうなと思う。
期待値も半端じゃなく高かったので、3時間かけたとはいえよくここまでまとめたなという印象。

最後に、MCUのフェーズ4において浮き彫りになった部分が「シナリオ構成力」と「カメラワーク」。
今まではスーパースターの華やかさで推し進められた部分も、新ヒーローが続々登場するフェーズ4においてはその粗さが看破できなくなってしまった(ワカンダフォーエバーもその二点においては物凄く巧みだったとは言えない)。

特に前者は今後に向けた最も大きな課題で、削るべきところは削る、受け手の理解力や想像力に任せてみるという決断を、今後のMCUは行えるだろうか?
香