あくとる

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのあくとるのレビュー・感想・評価

4.5
"国と守護者"

チャドウィック・ボーズマン/ティ・チャラへの追悼としてこれ以上なく熱く美しい愛に満ちた作品だった。
この映画を見ればいかに彼が愛されていたのか、彼の人徳の高さ、そして素晴らしい人々に囲まれていたのかがわかる。
自分は涙するというよりは胸がじんわりと温かくなった。

この映画の根幹にはやはり大切な人の死とどう向き合うかというのが一つの大きなテーマとしてある。
悲しみと怒り、後悔と苦悩。
復讐は癒やしとなるのか。
行動で自分を示す。
そこに王の不在によるワカンダ最大の危機が重なる。
民を守るための国同士のシリアスな駆け引き。
これが物語に抜群に面白い深みを与え、強力な求心力となっており2時間半を超える上映時間も飽きさせない。
また、単に湿っぽいのではなく、アイアンハートやオコエといったキャラクター由来のユーモアもいい塩梅で効いていたり、アクション的見せ場も多いのが好ましい。
エンタメとしての軽さと重さが本当に奇跡的バランス。
前作よりも語るべき内容、要素が格段に多くなっているが、シッカリと裁ききったライアン・クーグラー監督の手腕に改めて驚いた。