よどるふ

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのよどるふのレビュー・感想・評価

-
MCUの映画としては30作品目であり、フェーズ4の締めくくりとなる本作、と聞くと身構えてしまうが、蓋を開けてみれば、MCUを1本も観たことがない人でも前作『ブランクパンサー』さえ観ていれば大丈夫なつくりだった。

本作を観る上でほぼ前提となっている事実(前作の主演俳優の死去)に対して、作り手側はMCU作品としての要素を極限まで入れ込まないことで、この映画を観る側に「他のMCU作品との繋がりを探すモード」とは違う鑑賞態度を推奨しているように感じた。

MCUを1本も観たことのない人がいきなり本作を観たとしても「貴重な資源を保有しているふたつの国が対立している」ことは分かるシンプルな話なのだが、クライマックスにおける“意図的な高揚感のなさ”に感じ入るには先ほど挙げた前提の共有が必要だろう。

本作のいちばん凄いところは、クライマックスの戦闘において“高揚感”が湧き上がらないことにある。これだけの超大作、しかもクライマックスに“むなしさ”だけが覆っている状態を作り上げる覚悟は相当なもの。ということで、たいへん貴重な体験だった。
よどるふ

よどるふ