戦場太郎

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーの戦場太郎のレビュー・感想・評価

2.5
ヴィランのネイモア・ザ・サブマリナーはワカンダ一派とほとんど因縁がなく、ポッと出の悪役も同然な役回り。
二代目アイアンマンことアイアンハートは、話のフックに使われるだけでメインの部分にはほとんど絡んでこない。
なので主立った話は王女と女王で繰り広げられるわけなのだが、この辺の話で3時間持たせるにはプロットが弱すぎる。

大切な人を失う、というテーマはここ最近のMCUでよく見られるもので、ノーウェイホームもそうだし、ドクター・ストレンジMoMもソー:ラブ&サンダーもそうだ。
言うなれば食傷気味なので、いくらスタッフがチャドウィック・ボーズマンの死を悼んでいても、見ている側としては、ありふれた悲劇にありふれた展開を重ねているだけのように思えてしまう。

前作、ブラックパンサーは、無謬に思われた王国が、その秘密を維持するために数多くの罪を犯してきたことが暴かれ、それによって国王らの価値観は大きく揺さぶられることになった。
ワカンダフォーエバーでは、その揺さぶりとして肉親、すなわちチャドウィック・ボーズマンの死があるわけだが、彼の死はワカンダとは関係のないところで起きたことなので、揺さぶられているのは王女や女王の価値観ではなく、それを演じる俳優たちの価値観ということになってしまう。

ワカンダフォーエバーはチャドウィック・ボーズマンに捧げられた追悼のための作品に違いない。しかしそれが、ワカンダフォーエバーという作品をさらに強くすべく作用しているかと言われると、どうにも納得しかねる。
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