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ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのHAMUのレビュー・感想・評価

3.9
歴代のMCU作品にして、フェーズ4最後の作品にして、チャドウィック・ボーズマンの追悼映画でした。
本作の製作、チャドウィックがいる前提の脚本を全部ナシにし、ティチャラ王が亡くなった話にすり替えて作り直した、という点でめちゃめちゃ難しかったと思います。しかも単体作でなくユニバース作品なので、その先にもまだ繋げないといけないという。まずはこの作品を作り上げたことに対して賞賛を送りたいです。

本作は全体を通してティ・チャラ王の死を乗り越える、というのがテーマになっています。つまりは妹であるシュリがブラックパンサーとしての兄をどのように引継ぎ、ワカンダを引っ張っていくか、ということです。
ですが本作のシュリは兄の死を引きずりまくり、途中には正義側とは思えないような発言をし、なかなか辛いものがありました。特にシュリがついにブラックパンサーの能力を得てスーツを着た時でさえまだ復讐に囚われており、ヒーローになれていなかった所が辛かったです。

良かったところは、本作の敵役であるネイモアが前作のキルモンガーと同様非常に魅力的に描かれていたところです。その魅力とは、キルモンガーもネイモアも「まるでヒーローのような意見の主張があり、世を恨んでいるにしても一途に悪とは言い難い」ことにあると思います。前作ではティ・チャラはキルモンガーの行動をとめましたが、その思想は受け継ぎ、ワカンダを世界に開きました。つまり、本作のシュリもネイモアとの戦いを経て兄と同じような境遇に悩みハードルを乗り越えたと言えます。今回シュリはネイモアは殺さず、折衷案を提示することによりヒーローとなり、新たなブラックパンサーとして生まれ変わることが出来ました。わーい。

ブラックパンサーが闇堕ちする展開もアリかなと思いました(実際ネイモアとの戦いを終えるまで結構悪堕ちっぽい)が、それだと流石に兄の死が浮かばれなさすぎる、というのでこのくらいのバランスになったのかなと思いました。追悼映画なら気持ちよく終わりたいですよね!

今回、アクションが前作よりも進化しててよかったですね。中盤の車、バイク、飛行スーツでのチェイスシーンは前作の韓国チェイスより見応えパワーアップしてましたし、ネイモアの空中駆け抜ける感じも疾走感あって最高でした。ドラゴンボールくらい早いですねあいつ。

ただ引っかかる点としては、ワカンダとネイモアの戦いが不憫というかなんというか。てっきりCIAとの三つ巴の戦いになるのかなと思っていましたが、CIAの件は放置という。うーん。ワカンダとネイモアは悪くないのにな〜。まあここは意図的なものだと思います。次回作では、ワカンダとネイモアがタッグを組んでより悪いヤツを倒しに行くことに期待!
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