ペコ

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのペコのレビュー・感想・評価

3.9
国王とヒーローの二つの顔を持つティ・チャラが主人公の『ブラックパンサー』の続編。前作は第91回アカデミー賞において、スーパーヒーロー映画として初めてとなる作品賞にノミネートされました。しかしブラック・パンサーを演じたチャドウィック・ボーズマンが病気で亡くなり、続編製作がどうなるのか注目していました。代役を立てる?CGで復活させる?…。マーベル・スタジオが出した答えは、物語の中でも彼の死を描き、製作者側、そして観客、皆で共に悲しみを分かち合うという方法でした。喪失と再生、そして希望の物語。冒頭のMARVELのロゴのシーンから伝わる哀悼の雰囲気にグッとくるものがありました。
国王でありヒーローであった兄ティ・チャラを失った妹シュリ。そしてティ・チャラの母親ラモンダの家族の絆が描かれています。ワカンダ国を今後どうしていくべきか…。リーダーが先頭に立って引っ張っていくだけでなく、その周りの人たちが支え合い協力し合い、国を民を守り抜こうとする姿がとても感動的でした。
そしてワカンダ国で産出される希少金属ヴィブラニウムをめぐり、新たな争いが勃発。ワカンダ国と、海底に住むタロカンとの戦争もアクション満載で見応え十分でした!戦争シーンを観ていて、ロシアとウクライナの戦争と重ねてしまい、複雑な気持ちにもなりました。それぞれの国にそれぞれの主張があり、国を守るため、民を守るため、資源を守るため、自由を守るために戦っている。しかしヒーロー同士の争いに無関係の国民を巻き込むことは違う。愛する人を失う悲しみは、国や文化が違っても同じなのだから。シュリとタロカン国の王ネイモアが、戦いの果てにどんな答えを出すのかに注目していただきたいです。2時間半の上映時間の長さを感じさせない濃厚な内容でした。
チャドウィック・ボーズマンがいない穴は大きいが、それでも遺志を継ぐ者が現れ、今後のこのシリーズに期待できるような内容でした。ワカンダ・フォーエバー!

……次はアリさんの映画かな?
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