MURANO

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのMURANOのレビュー・感想・評価

4.1
故チャドウィック・ボーズマン演じたティ・チャラをリキャストせず、いわば主役不在のままの状態で製作することになった続編。

冒頭からティ・チャラの葬式シーンというかなりハードな滑り出しで、いきなり悲しみに直面。現実と映画が、どうしてもリンクしてしまいますしね。

そして、MARVEL ロゴが、いつものロゴではなく、在りし日のティ・チャラの姿で埋め尽くされ、静かに心に響くーーー。

主役がこの世を去ったところがスタート地点となるため、続編とは言っても、1から再構築しているような感じで、上映時間は160分越えと1作目から大幅に長尺に。

それだけにティ・チャラの妹であり、新たに主役となったシュリの感情心理を、非常に丁寧に、時間をかけて描写されていたように思います。

王である兄の不在。とてつもない悲嘆に暮れて、その現実を受け入れるのに時間を要し、ワガンダのために何をすべきかを自覚していく。

シュリの成長を描く人間ドラマとして、ヒーローもののアクション映画として以上に、見応えがありました。

加えて、前作のキルモンガーと同様に、今回の敵となるネイモアの描写も深堀りし、敵も単なる悪人ではないことを強調。

ネイモアがシュリを連れてタロカンを案内するシーンは、善悪の対決を越えて、重要なシーンになっていました。

スペイン人の入植による中南米の先住民の奴隷化という歴史背景を入れ、社会性を織り込んでくる。このあたりは前作同様ライアン・クーグラー監督の強い個性ですよね。

もしティ・チャラが主役だったら、きっとここまで長尺にならず、もっとシュッとしたヒーローアクションになったのでは?という気もする。

チャドウィックの訃報を経て、考えて考えて、考え抜いたうえでの人間ドラマだったように感じています。

そして、丁寧にシュリを描いたうえでの、この映画のラストシーンは、本当に美しくて...!!

その美しいシーンに添えて、リアーナが数年ぶりの新曲として優しく歌い上げる「Lift Me Up」と来たら、もう、泣けます!!

MCUのフェーズ4としては最後の作品だったわけだが、このフェーズは『エンドゲーム』後のヒーローの世代交代をテーマにした作品が多かった。

この映画は継承の物語として究極とも言えると思うし、フェーズ4の締めくくりとしても、ラストシーンは見事にハマっていました。
MURANO

MURANO