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喜劇 愛妻物語のjamのレビュー・感想・評価

喜劇 愛妻物語(2020年製作の映画)
3.7
幸運を呼ぶ"赤パンツ"

オープニングからいきなりのドアップがコレ⁉︎
毛玉付き、ウエストゴムはヨレヨレ、なんならすこしほつれてる?
おそらく前夜は熱帯夜
親子3人、川の字で眠る
妻が履く赤パンツのインパクトよ…

年収50万、鳴かず飛ばずの脚本家豪太
家計を支える妻チカ
セックスレス気味で欲求不満の豪太のミッション…いかにしてチカをその気にさせてコトに及ぶか

アレコレ姑息な手段で迫る豪太を
チカの毒舌、さらには裏拳が跳ね除ける
水川あさみのキレキレっぷりが凄い

シナリオのロケハンに託けて
チカと愛娘アキを伴って訪れた高松
けれども豪太の頭の中は旅の流れでなんとかしてチカとセックスすることばかり

節約のためにがむしゃらなチカ
両親の思惑など我知らずのアキの可愛さが救い


努力して、自分の描きたいシナリオのために貧乏暮らし
そうであれば、いわゆる"いい話"なのだけれど
チカがキレて叫ぶ言葉が真実を物語っていて

この世の終わりみたいな顔して
自分の映画を諦める理由を探して
結局自分のことが一番大好きな甘ったれ野郎
バイト辞めた理由、人間関係⁉︎
そんなもの、どこにいってもあるわ!
クズに近い雑魚
本当に描きたいモノなんてなくて
世に出たいだけ 宇宙一ダサい


ずいぶん酷い言葉だと思う
けれど、豪太の大切な時には必ず
一緒に買った勝負パンツ"幸運を呼ぶ赤パンツ"を身につけて
彼を叱咤激励して支えてきた
彼女だからこその言葉


クライマックス
本音をぶちまけ合って
泣き叫ぶ二人のなんとも言えない表情


疲れていて
ただ笑いたくて
チカの毒舌を聞いてスッキリしたくて
そんな理由で観ていた私

クズと罵り別れたいとこぼしながら
それでも豪太を見捨てない
チカにとって彼はかけがえのない存在

ダメな人でもいいかな…
あー、でもよっぽど愛してないと無理だな…

少し考えながら、夜の新宿を歩いて
jam

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