これ、観たのですけど、フィルマークスさんになかったので、お願いして追加していただきました！

なのでだいぶ前に観たので、少しうろ覚えですが、とても印象に残った作品でした。

めちゃくちゃ低予算映画なのですが、こういうアメリカを描いた映画ってなかなかないのではないでしょうか？

『オフィス・スペース』が好きな人なら楽しめる映画だと思うのですが、ダーク・コメディだし、救いもないです。

主人公のマーティ・ジャキタンスキーは、白ロシア移民の家系で、現在20代中盤。銀行の住宅ローン部門に派遣社員として勤めているが、最低賃金だし、簡単なベーシックな仕事しかさせてもらえない。

マーティは自分の人生に全く夢も希望もなく、TVゲームやってホラー映画を観ているだけだし、会社からも社会からもなにかをかすめ取って生きようという意思しかない。

同僚のデレックは、やはり将来に先行きがなく、多分マーティよりちょっと年上。未だに親と一緒に住んでいるが、TVゲームばっかりやっている。しかしデレックは「優良社員」を目指していたりする。

マーティの見た目がすごく気持ち悪いのと、彼の生活、彼のやる気のなさ、彼の怪しさ、危うさがものすごいインパクトありました。

マーティは、会社で高い文房具を注文して、それを店に返品してお金をかすめ取ったり、昼休みを何時間も取ったりしています。冒頭では、自分が働いている銀行の口座を一旦閉じて、また新しい口座を作ったりしています。これって、日本にもあるのかわからないけど、一定期間、口座を開けると100ドル貰えます、っていうのがたまにあるんですよね。だからマーティは、窓口で現存の口座を閉じて、その同じ窓口の人に「新しい口座を開けて」って平気で言う。しかも、その銀行で働いているのに、昼休みを何時間も取っているから大丈夫、とかその人に言う。つまり、全く悪いことをしているなんて意識はない。

マーティが怖いのは、逮捕されるか、されないか、ということだけ。見つからなければいい、バレなければいい。

そして、彼が心酔しているのは、『エルム街の悪夢』に出てくる、ナイフがついた手袋を、自分で制作することだけ。

こういうのを見て、「真面目に仕事しろよ！」って言う人いるかと思うんですけど、私はマーティの気持ちがわかります。

彼は、ナイフがついた手袋を作っているときに誤って自分の手を切ってしまう。でも、健康保険がないから、医者にかかれない。なので、会社でケガしたことにすれば、会社でお金を払ってくれるから、会社でケガしたことにする。医者は、キズが古いので、マーティが嘘をついていることを知っているんだけど、健康保険がないってことをわかっているから、何も言わない。

マーティが白ロシアの移民というのもなかなか見ない設定。つまりアメリカと言う国は、不安定な国の人が、「アメリカに行けば、豊かな暮らしができるかも」と思って来るんだけど、現実はマーティのような人がたくさんいる。こういう家庭に生まれたら、お金がないから大学にも行けない、だから派遣の仕事しかない、だから健康保険もない、だから将来に対する希望もない、だから人からかすめ取ることに罪の意識もない。

同僚のデレックは、「優良社員」を目指しているけど、だからと言って生活が楽になるわけではない。昇進するかもしれないけど、デレックが親の家から独立して生活できるほどのお金が稼げるとは限らない。

こういう人たちはアメリカにたくさんいるんだけど、ほとんど映画で描かれることがない。今、黒人やLGTBQなどの人たちの映画がないじゃないか？っていうのが少しずつ改善されてきているけど、貧しい人、搾取されている人を描く映画なんてない。

ラストも示唆的だし、なかなかいい映画だと思うので、できればたくさんの人に観ていただいて、感想を知りたいです。

☆ コメディ/ ドラマ/ ホラー

▷ Soundtracks
Carmen de Proelio /Bog Rot
Burnt Vestry /Honduran
Fleshbreath /Bog Rot
Why Do I Hate So Much? /Cain
Jxxky Nation /Dopehead
Never Forget (Ben Bratt)/Honduran
Mind=Worm on Worm /Trauma Coil
Stonerocker /Moto
Reset Your Head /Crack Abraham
Follice Gang (Green)/Heavier Than Air Flying Machines
Load Warrior /The Apostles
Hiding from the Idiots /Honduran

• #コメディ2010sZl
• #ホラー2010sZl
• #撮影AdamJ.Minnick
• #編集JoelPotrykus