Tatsu

海辺の映画館―キネマの玉手箱のTatsuのレビュー・感想・評価

4.1
正直泣いた。正に近年のフィルモグラフィーの総決算的な内容。これを見た今でも2010年以降の大林ベストが『この空の花 長岡花火物語』なのは変わらないが、今作ではあいも変わらず、話のロジックを完全に無視し、その編集の若々しさと、若者の未来を見据える年長者としての姿勢、両方が詰まっている。こんなに荒唐無稽な話でも、一切のロジックがいらないのは大林映画だけだな。ラスト周りの、同じ場所での時間を超えた切り返しにグッとくる。あれをするのはずるい。ぶっちゃけ今年のスパイクリー新作もそうだったが、ほぼほぼレファレンスの蓄積で成り立っている映画。そこに賛否があるのはわかりつつ、その熱量にはやはり圧倒される。巨匠の遺作にここまで余韻ではなく、圧倒されてもいいのかというくらい。RIP.
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