ふぇいるくん

ナチュラル・ボーン・キラーズ ディレクターズカット版のふぇいるくんのレビュー・感想・評価

1.5
今作のW・ハレルソンは主役のエキセントリックな大量連続殺人犯を演じているが、なんとも儚げで存在感が無い。

それは共演陣と比較しても明らかで、狂気演技と言う枠をはみ出ることなく安定したテンプレートを演じるR・ダウニーJrやT・L・ジョーンズは勿論、映るだけで神経を逆なでしてくるJ・ルイスらに比べても、借りてきた猫よりおとなしいハレルソン。

銃も撃ちまくり、人も殺しまくり、車も飛ばしまくるが、どこが不安げで青い目を自信なさげにキョトつかせるハレルソン。
凶悪というよりはむしろ思春期のようなピュアさを感じさせるその儚さは、まるで「時をかける少女」の原田知世のごとき透明感。
透明過ぎて殺される端役よりも印象が薄いほどだ。

映画自体はその主役の希薄さを補うがごとく様々な視覚効果や映像テクニックを駆使してテンションの高さを保とうとするも、ハレルソンはどこ吹く風。
ラストまで所在無げな瞳を虚空に漂わせる姿が、なんとも可愛らしくて抱きしめてあげたくなりますね。