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ドント・レット・ゴー ―過去からの叫び―のJIZEのレビュー・感想・評価

3.6
2週間前に死んだ筈の姪から掛かる電話の向こう側と繋がりながらも一家心中の殺人事件を未然に阻止するため奔走する黒人刑事の姿が描かれる。まず"事件が起こる2週間前の世界"と電話で接続されてる設定そのものは、謎解き要素を多分に含みつつ複雑で面白かった。また映画の内容は過去軸だけでなく、現在軸の動向もほぼシンクロニシティ的に同時並走で影響をうけ繰り広げられる。主演のデヴィッド・オイェロウォの身体ボロボロに死傷を負いながらも真実を掴み取ろうと疾走する様や、実は…の結末部分のタイムパラドキシカルのSFの要素を絡ませたあれこれなど、題材自体の既視性はあるが"過去を変える"テーマが全編に貫かれている。一つ、"繋がる"部分の謎が解明されれば完璧だった。現在にいる者が過去にいる者と交信するワクワクハラハラや、過去と現在が呼応する時制サスペンスを縦軸に据えつつも友情や人間同士の繋がり合いを深く実感させる映画だろう。
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