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ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジのJIZEのレビュー・感想・評価

4.3
刑務所に収監中の死刑囚クレタス・キャサディが"カーネイジ"に覚醒したコトから世界が闇に包まれてゆく様子をうつしだすSSUの第二弾!!今年の年間ベスト入り即確!初日にIMAXの字幕で鑑賞した。IMAXの特典豪華ですね。一言で凶悪ヴィラン カーネイジの"大殺戮"が全て強烈で最高だった...。キャサディが連続殺人鬼の"シリアルキラー"となる起源のカートゥン漫画の演出も描写がなめらか。開幕から1996年のカリフォルニア州に時制は遡り、今回のキーパーソンとなるフランシスの"変異"の元凶をまだまざと醸しだす。まず本国公開から日本は約3ヶ月遅れでの超スロースタートだが、前回の『ヴェノム(2018年)』の鮮烈な興奮と衝撃から三年越しの熱気も相まり、約97分のスマートな短尺に重ね満足度としては激アツで面白かった。また作品の前半ではエディとヴェノムのパート1の延長線上をなぞり崩壊寸前の"繋がらない"関係が交わされ、作品の後半では運命的な2大シンビオートが真正面からついに激突する。今回シナリオがかなり見易く補正され、アクションに振り切る描き出しも個人的にはかなり良かった。いわゆるパート1での全体的にモサッとした鈍重さを補正して、まとめ方てきには秀逸に感じました。端的に今回ほぼ主役級のカーネイジの大殺戮のシークエンスが、ヴェノムの強固な存在感やその他諸々の作品内のレイヤーのまどろっこしさをすべて破壊して呑み込む。文字通りの"圧巻"という表現に尽きた。またすでに観た方なら分かるよう、ヴェノムのシンビオートの力でキャサディ改めカーネイジが、サン・クエンティン刑務所や聖エステス矯正施設を粉々に破壊する一連のくだりは、ココ最近のアメコミ映画の中では最高史上の大迫力とカタルシスがある。本編ではそれぞれのキャラの"繋がり"が離れたり戻ったりしてはグルーヴして、生命の根源や愛とはなど、それをヴェノムやカーネイジをつうじて浮かび上がらせていたように感じる。本作は終盤のある石像の場面で、"ドン・キホーテ"と"サンチョ・パンサ"の関係を、エディとヴェノムのぶつかり合いながらも時には歩み寄り共闘する姿勢に重ね合わせる最強のメタファーがあり、その両者の構図がラブロマンスを観てるようなジャンルを隔てた錯覚すら匂わせる。

→総評(あらゆる事実は、あらゆる真実の敵なり)。
総じてパート1よりは脚本やアクションにおいて断然エキサイトでき、ギュッと凝縮してパワフルに提示して魅せた今回第二弾のアンディー・サーキス監督の手腕には高らかにブラボー!と云いたい。またウディ・ハレルソンの赤を基調とした身のこなしもギラギラで最高。いわゆるパート1の世界観の要素などのその後を拡張しつつも、エディたちの前へ立ちはだかる新たな凶悪ヴィランや、シンビオートに秘められた不可解性なども、しっかりと前回の世界観を保守しつつ大胆に描き出す。それこそ序盤、今回の事の元凶を生み出すエディとキャサディがクエンティン刑務所の檻の柵をつうじて面会するくだりで、エディの腕にキャサディが噛みつくシーンは、原作を忠実になぞったのか漫画チックなシーンに感じてしまい、原作を知らなかったワタシからすれば若干笑みが溢れそうになってしまった。。ココまでの世界を滅ぼし兼ねない大惨事を引き起こす起因がその行為か...と。あと終盤のヴェノムとカーネイジの対峙から場内のインフレが沸点まで到達して『アメスパ2(2014年)』でのピーターとグウェンの最後のシーンを彷彿とさせる示唆は、近作で『スパイダーマン:ノーウェイ・ホーム(2022年)』を控えてるコトから意図的としか思えない素晴らしい構図で胸アツすぎた。ラストのエンドロール後のポスクレは、南国で剛速球の天変地異が生じます!ココだけでもカーネイジを吹っ飛ばすほどの大大大インパクトがある!!本作の鑑賞、劇場環境が整ったできればIMAXのドデカイ環境下でおすすめします!!!
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