Chico

hisのChicoのレビュー・感想・評価

his(2020年製作の映画)
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高校時代から恋人同士だった迅と渚だったが、大学卒業前に渚が別れを告げて去ってしまう。
それから10数年後、同性愛者であることを隠し、一人ひっそりと田舎暮らしをする迅。職につかず近所の人と物々交換をして食べ物を調達、暇になれば川辺で小説を読む生活。そんな彼のもとに6歳の娘・空を連れた渚が現れる。女性と結婚し子供を持つも、現在は娘の親権獲得を巡り離婚調停中だという。戸惑う迅に渚は秘めていた想いを告白する。

社会的弱者とされている同性愛者や女性の現状を親権争いを通して浮き彫りにし、その先にあるオルタナティブな家族のあり方を提示しようとしてるのかと思いました。

テーマは他人事ではないので興味深いですが、都合のよいやり取りとストーリー展開、登場人物の深みのない造形と心理描写は一般的な言葉のイメージの範囲内で描かれていてどこか教科書的で、二人の関係がなぜ互いに特別なのかがわからなかった。また、子供への対応を責められる妻の姿があるが、渚の人の扱い方が問われていないのはなぜだろう。(迅への態度とか妻への謝罪が口先だけに聞こえる見せ方、脚本)
いい所だけを切り取った偏った世界観になってしまっているのを愛想笑いのような空気で煙に巻いてしまっているように感じた。

こっぴどい猫以来の今泉監督作品鑑賞。ラッキーオールドサン主題歌 街の上で 気になる
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