恋愛だけじゃなくて、夫婦関係のあるべき論、地域社会の狭さ、男女の普通と呼ばれる異質さ、親子のしつけとしがらみ等をすべて含めて映し出していた。異性愛者だからこその美しい映画、悲劇的な純愛を撮る気がないことが伝わって良かった。今泉監督作品の中で好み。
自分たちが一番苦しいと思っていた、けど、そうじゃなかった。みんな苦しい、けど別のベクトルだから、みえないんだよね。
奥さんのお母さんにもきっと何かしらの苦しみがあったんだという導火線から、この映画では嫌に写ってしまった弁護士にも裁判官にも、なんらかの苦しみやしがらみが背景にあることを想像させていた。それは、自己への投影にもつながる。弁護士や裁判官や上司だけではなくて、私たちの偏見や正義や常識も、過去の経験や環境からきていて、それは誰かを傷つけている。 そのことをまずは知って、謙虚に思いやることが大切なのではなかろうか。過剰にしすぎるのではなく。
まっすぐに育ってほしいな、そらちゃん。
松本穂果、宮沢氷魚の透明感