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hisのayのネタバレレビュー・内容・結末

his(2020年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

絶対悪が居ないのにみんな少し息苦しい。でもこの映画ではそんな息苦しさだけじゃなく少しの勇気と優しさで救われる結末だったので自分に余裕がなくなった時、人に優しく出来なくなった時に改めて見返したくなるような映画でした。

以下各シーンや役者の皆様への感想。
ちょっと軽薄な役を演じるのはもう十八番なんじゃないかと思う渚役の藤原季節さんとそんな渚に振り回されて心を開ききらないけどでもやっぱり愛してしまう宮沢氷魚さん演じる迅。ちゃぶ台を超える瞬間までの頑なに受け入れないぞという意地の表現がすごく伝わってきました。
試写会でも話が出ていたのですが今泉監督の映画は温度を高く上げすぎない。というところを留意されていたらしく、その温度感が私にはとても丁度良かったです。ちゃぶ台から手をのばし拒否されると縋るように体を伸ばすシーン。旬の覚悟に額をあわせ想いを寄せ合うシーン。激情に走りそうなシーンが30歳という年代で感情に体力を全振り出来ない人たちの温度感にあってると個人的には思いました。好きです。
額のシーンは他にも息づかいひとつ逃さない描写で美しかった。感情の起伏を静かな息づかいと喉元だけで表現してるの、流石でした…
後半では渚の元妻松本若菜さん演じる玲奈に焦点が当たるのですが裁判のシーンから彼女の社会や母親からのプレッシャー、育児について相談する先のない不安。見ていて胸詰まるところでしたけど、そのまま駄目になるのではなくきちんと渚と連絡を取り相談するという協調を選ぶことができた姿に救いを感じました。
終始一貫して日比野家の娘、空ちゃんを演じた外村紗玖良ちゃんが凄すぎました…。
恥ずかしながら今泉監督の作品は恐らく初見なのですが、映画の温度が心地よすぎたので過去作を漁ろうと思いました。
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