YukiSano

シン・ウルトラマンのYukiSanoのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
3.6
シン・ゴジラの劣化コピー。
ウルトラマン愛によるオマージュが爆発し、それだけで終わった。

冒頭から完璧な円谷再現をした音響や怪獣デザインなど溢れるオマージュの洪水に溺れかけ、大好きなシン・ゴジラの演出もあり、出だしは好調だった。

私は初代ウルトラマンが大好きで怪獣にハマり、そのままゴジラ映画→ハリウッドB級映画へと移行してきた経歴を持つので、ウルトラマン復活は本当に色々な思いがあるので、見ている内に複雑な気分になってきた。

わざわざ昭和のチープさまで再現しなくても良いのでは?と思えてしまった。長澤まさみへのフェチズムが爆発してるのも面白いし、メフィラスが割り勘なのも良い、シン・ゴジラまんまの内閣キャストも良いだろう。

でも肝心の国防や破壊兵器に対する問題提起や思想はお子さま向けだった。そこを現代の視点で描くことこそシン・ゴジラに続くアンサーを期待していたのだが現実離れし過ぎてきて危機感が感じられない。故に単にパロディに終始しただけに感じてしまった。

このシン・ゴジラとの決定的な差は何だろう?監督が樋口のみだから?ゴジラは破壊神の映画だがウルトラマンは子ども向けヒーロー映画だから?シン・ゴジラやシン・エヴァンゲリオンが当たりすぎて慢心したのか?

極め付きはラストの「あの」怪獣との戦いがアッサリし過ぎていたこと。彼は怪獣の中でもスーパースターだと思うのだが、何だ?あの扱いは…「もう、終わり!?」と心の中で叫んでしまった。

ウルトラマン特撮の良さやシュールさを懐かしむ2次創作的な同窓会映画としては最高なのだが、世界に誇るウルトラマンを日本発で発表するとしては恥ずかしいレベル。

印象に残ったのは、長澤まさみのスカートの中と何度も叩かれるお尻、そしてM87星雲よりも想像力を刺激する風呂に入っていない彼女の匂いである。

ウルトラマンより働きマンの方がインパクトあったというオチ。よく東宝許したな。国際公開したらセクハラ問題になるかもとか余計な心配してしまう。

はっきり言って庵野秀明が素顔のままウルトラマンを演じた自主映画の方がテーマも特撮も面白かった。

次回は別監督で「帰ってきたウルトラマン」かセブンをお願いします…
YukiSano

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