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シン・ウルトラマンのpenのネタバレレビュー・内容・結末

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

冒頭、オリジナルのTVシリーズでもあった『ウルトラQ』→『ウルトラマン』のタイトルの出方を踏襲した『シン・ゴジラ』→『シン・ウルトラマン』の出方が見事。
オマージュでありサービスであり、一方でシン・ゴジラとは別路線の作品ですよという宣言にさえ感じられる。

シン・ゴジラと似た組織構造、カット割り、専門用語で先の作品を彷彿とさせながら、同時に空想特撮映画としての外連味、カイジュウこと禍威獣が世に出るのが当たり前の世界を演出するのは相当に難しい。シン・ゴジラのような大量のカットを止めどなく繋いで激しく画を変えながら、限られた中であっと驚くもの、ドラマを描く必要がある。それが本作は出来ていなかったように思う。TVシリーズを圧縮して2時間に収めたにしても、人間と外星人との関係を描く為の必要な場面は入れようと思えば入れられたはず。一応本作にもあるにはあるけど、あまりにも淡々と流してしまってる感じさえする。シン・ゴジラの場合、刻々と深刻化する事態と、矢継ぎ早に流れていくシーンの連続がマッチしていたが、本作には止まる時間がもう少し必要だったのでは。ここは脚本の問題の印象。

画繋ぎという意味では、シン・ゴジラは"人の顔"で繋ぐのがベースにあったが、今回は一応ドラマ重視の為か、登場人物の性格・個性を強調する為に顔以外にアップするのが見受けられる。沢山現場で撮影した素材があるのを感じつつ、「そういうカットしか撮ってなかったのか」「よりにもよってそのカットを使うのか」という疑問が最後まで付きまとった。この部分は脚本に書かれたト書きに対する、現場での解釈が問題な気がする(そもそもそのキャラクター造型で良いのかという話にも抵触するが……)。あと衣装も予算限られてるにしても、その中でも拘った方が……。

VFXは全体的に素晴らしいが、あくまで人間が出ていない時に個人的には限る。ウルトラマンと人間の物語なら、ウルトラマンが空を飛んでいく姿を下から見上げながら目で追いかける長澤まさみ氏の場面をもう少しちゃんとした方が良いと思った(他の円谷プロ作品なら出来ている)。
人がミニチュアレベルで小さく、ウルトラマンが中心のVFXは良い(ザラブ星人戦で偽物を前に変身するところは特に)。

初代ウルトラマンをベースにしながら進むストーリーに伴うSF設定、話を展開させるロケーション(公園、森の中、居酒屋。ずっと見てたい)、本作に従事した役者陣、主題歌、ウルトラマンと禍威獣が出るVFXは素晴らしい。しかし、それを一つに纏めあげる為の関係性の変遷の物語、編集、撮影が自分にはあまりハマらなかった。
今回は庵野氏と樋口氏のタッグがちゃんと機能していなかったと思う。

あと別にナレーションは使っても良いと思うんですけども。冒頭であんなに字幕出すなら。
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