昭和特撮へのノスタルジーと庵野的な呼吸に溢れたクセの強い一作。
邦画界のA級キャストがウルトラマンと共演している異様さと嬉しさ。
ウルトラマン好きにはたまらない。
開幕から『パシフィック・リム』並みの情報開示は否が応でも盛り上がる。
細かい説明や人間ドラマはどんどん排除し、矢継ぎ早に襲来する怪獣、宇宙人はさながらテレビシリーズ総集編の様相。
一般の観客には飲み込み辛いけど、どんどん進む。
良くも悪くもウルトラマンの映画感。
心配していたCGもネロンガ、ガボラ、ザラブあたりまでは頑張ってる！と嬉しかった。
特にザラブ周りは白眉。
オリジナルデザインをオマージュした異様。
磁界のような不思議光線。
夜の摩天楼で繰り広げられる人知を越えた戦いはアガった。
空想科学読本へのアンサー的な描写や着ぐるみリメイクのメタ設定、児童書の誤情報ネタなど微笑ましいとこも魅力。
政治劇の短さやメッセージのシンプルさ。
肩の力抜いてる、良い湯加減。
エヴァを初めとする庵野作品のらしさを始め、全体的に一昔前の映画っぽさは気になる。
劇伴や引用、セリフ回し。
画質バラバラの忙しい編集は本当にノイズ。
批判されているキャラクター描写も９０年代クリエイターの視点で作られてるなぁという印象。
垢抜けない。
『シン・ゴジラ』では新しかった物がもう古く感じる。
次の『シン・仮面ライダー』もやはり期待半分、不安半分。
そろそろノスタルジーを排した“今”の映画を作って欲しい。
だからこそ米津玄師の主題歌が流れた瞬間が一番感動した。
新しいウルトラマンだ、と。
とは言いつつも、ウルトラマンをこの規模で作ってくれたことには感謝しかない。
