天パのT

シン・ウルトラマンの天パのTのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
2.3
ウルトラマンは幼少期の思い出。特に幼稚園ぐらいまではウルトラマン大好きだった。父親が亡くなったときまだ幼稚園児だったが、ウルトラマンのソフビとか買ってくれたな。
そんなノスタルジーに浸るのも良いかと思って、邦画を数年ぶりに映画館で観た。

先に触れておきたいのが映像問題。これを「味だよ」と感じる人はそれで良いと思う。実際、職場で「CGがね…だから映画館で観なくてもいいかなと思ってる」と話したら「それ(CGの"味")が良いんですよ」と返されたこともあった。そう思えるならそれで良い。
で、そんなのは分かりきって映画館にわざわざ行ったからもうCG問題はどうでもよくて、CGより気になったのは、普通のシーンの画質。シンゴジよろしく、本作は会話シーンがすごく多い。特に狭いオフィスの中での会話シーン。顔面ドアップになるシーンは映画用のカメラを使っているんだろうが、明らかに「いやこれ、ゴープロかiPhoneで撮ったろ」という映像が多用されている。序盤で気になり始めたのだが、屋内のシーンでわざと臨場感を出すために取り入れているのかなと最初はスルーしていたが、もはや屋外のシーンでも画質の悪いシーンが目立ち始めて絶句した。これをIMAXで上映していたなんて…。

と文句から始まってしまったが、予告を初めて見た時に「なんじゃこのほっそいウルトラは!!」と思ったものだが、鑑賞中盤からはなんか安心感があったよ。強いウルトラマンが観れている時点である程度の満足感は担保されている。有名な怪獣も出てくるが、ああ、こう来るかと。

キャストでいえば、思えば中1のときから好きな長澤まさみを大画面で観られたことも良かった。しかも、昔のウルトラマンでもあった展開もあって、長澤まさみファンにとってはご褒美だ。まぁ、長澤まさみをめぐる描写については性的すぎるということでSNSでちょっと炎上してしまったようだが。性的うんぬんは置いておいて、長澤まさみの画力に頼りすぎだな、と思う場面はたくさんあったとは思う。

そしてこの映画、想像以上にスケールがデカい。終盤は和製『エターナルズ』(2021)観てるかと思った。
ただね、あんだけ規模がでかいのに(外国の言及はあるけど)舞台が日本に留まっているのが違和感があった。"日本と宇宙"っていう、いくつも段階を飛び越えた規模感。それは昔のウルトラマンと変わらないんけどね、でもあれはテレビドラマでしたからね。
あと、複数のエピソードを組み合わせた作りになっているので良く言えばテンポが良いんだが悪く言えば平坦で、トントン進んでいるはずなのに間延びしている印象を持った。予告編で出ているので名前を上げてしまうと、ザラブ星人とメフィラス星人が出てくるのだが、続けて同じような話が続く。細かく言えば異なるのだが、どちらも人類に友好的な感じですり寄って、実は征服しようとしてましたー、という。日本政府も2回連続でまんまと騙される、バカかと。
また、最後の展開もスケールの割にはやはり最後が雑。言葉が難しいのもあって、何をやっているのかよくわからなかった。あれだけ、もう人類としては最悪の事態に陥っているのに、気づいたらなんか解決してた。
ウルトラマンがあれだけ人類に尽くしてくれるのは人類が好きになったから、ということなのだが、なぜそこまで好きになったかも謎。感動的な展開を目指しているんだろうが、感情の描き方が雑なので感情移入しにくかった。
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