サム・メンデス監督の「事実の再現」を追い求めてのワンカット(風)という撮り方に頷く仕上がり。
自分も同じ場所にいて行動を共にしているようなカメラワークで思わず肩に力を入れながら観てしまった。いつどこから敵が現れるか、もしかしたらすぐそこにいるんじゃないかとハラハラした。
緊迫感はもちろんのこと、道中にはさまれる人と人のやりとりも良かった。
過酷な状況が終始続く中で人間が誰かを想う気持ちというのがしばしば描かれている、短いシーンであってもそういう精神的な面が丁寧に描かれている所もこの映画の魅力だと思う。
予告で見られる戦場での爆破や銃弾が飛び交ういわゆる戦争映画らしいシーンも迫力があり、間違いなく評価にふさわしい映像作りがされているが、戦場における人間の心の動きも細やかで、会話のひとつひとつ、動作のひとつひとつに感情が
表出しているのも見応えがあった。