虎舞羅ーコブラー

1917 命をかけた伝令の虎舞羅ーコブラーのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.7
「007 スカイフォール」などのサム・メンデス監督が描く戦争映画。

この作品、皆さんご存知の通り"ワンカット"技法を使っています。戦争映画でワンカット技法を全編に使用するのは、史上初の試み。
戦争映画の中でも類を見ない緊張感が漂うなか、二人の兵士の“命をかけた任務”に同行する視聴者たちに、戦争の不条理さを思い知らせます。
この映画は、映画史や、私の中に残り続ける傑作になったなと実感しました。

戦争において、最も恐ろしいものとはなんだろうか。敵の狙撃手?地雷?それとも爆撃か?違う。私は、最も恐ろしいのは“何かを失う”事だと思う。主人公の兵士二人の任務は伝令。失敗すれば、多くの仲間たち、そして家族を失う。時間が過ぎるほど、“失いたくない”という思いが積もって爆発しそうだ。道なりは厳しい。いつどこで襲われるかも分からない。たとえ一人になったとしても、任務を遂行する。仲間の為に、祖国の為に、そして家族の為に。
もし自分が、こんな立場に立たされたら。戦死すれば、残された家族はどうする?最愛の人を亡くしたら?

これは監督の祖父の実話をモチーフにしている。戦争を経験した人も少なくなり、戦争の恐ろしさを分からない若者は増えている。
映画というもので、戦争の怖さを、そして如何に不条理極まりないものかを伝えられる。そんな事を、私は思いました。