大変よかった。
１台の手持ちカメラの映像で、しかも終始ワンカット（風の演出）、、すごい。
主人公と時間の経過を共にして、同じ目線で出来事を体験して、その空間に一緒にいるような気分でのめり込んで観てしまった。
ストーリーは、兵士が国を左右する大事な伝令を敵の陣地を掻い潜って命がけで味方に伝えに行くという非常にシンプルで分かりやすい話。
だのに、見せ方だけでグングン引き込まれてここまで掴まれるってすごい。
悲しませたい、感動させたい、みたいなあざとい演出や余計な描写はなくて、
そういういらない表現が削ぎ落とされて
起こったことをありのままのに見せられている映画。
感じ方は観る側に委ねられているスタイルがとても心地良かった。
印象的だったのは、死者に対する意識の向け方。
戦争ものだから至るシーンで死体が出てくる訳だけど、
誰かが死んだことに対して悲しがるシーンがほとんど描かれない。
でも実際の戦場ってそうだったんだろうと思う。
仲間が死んでいちいち落ち込んでられない。
機械的に淡々と前に進むしか選択肢はない。
そうしないと自分のメンタルが持たない。
とてもリアルだった。
仲間が死んでも泣かなかった主人公が、本当に一回だけ、一人になった時間に嗚咽をするシーンがあって、それがとても悲しくて耐え難かった。
歴史好きにもそうでない人にもおすすめしたい。
