あか

1917 命をかけた伝令のあかのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.5
ロジャーディーキンスの撮影とサムメンデスの演出は見事に組み合わさっていて、臨場感と緊張を常に演出していた。
また、私はストーリーテリングも評価したい。強く感動を与えてくれた。

ロジャーディーキンスの撮影は実に素晴らしい。
・稜線がど真ん中に来るようにだったり、徹底されたフレーミング。
・彼の代名詞であろう、暗闇の光と影のシーン。
・滑らかなカメラワーク

そこにメンデスの演出が絶え間なく合わさっている。
ネズミや動物の起用、遺留品や有刺鉄線等々の美術が巧く、そして鋭い。
荒廃した戦地と緑豊かな大地をリアルに再現していたことが、臨場感を高めていたと思う。

静→動の切り替えが絶妙だと思う。
あれだけカメラワークが滑らかだと、画面外がどうなってるかとても気になる。
それと同時に一体なにが起こるのか、恐怖をも感じた。(特に前半)

脚本は一本道なストーリーテリング。
しかし、登場人物の素性について、物語を見ることで、少しずつ知ることができ、興味深い。とてつもなく緊迫した時代と環境の中、生き抜く男達のドラマに強く感動した。

メンデスの1917はノーランのダンケルクと比べて、死体やバイオレンスさもあり相対的に綺麗ではない。
しかし、私は1917を絶対的な美しい映画であると感じた。
その理由は上述の通り、脚本、撮影、編集・演出がどれも一級品であるからです。

さて、悪い所であるが
・スピルバーグのプライベートライアン
・ノーランのダンケルク
・ジョージミラーのマッドマックス
・イニャリトゥのレヴェナント
・キュアロンのトゥモローワールド
これらの要素を強く感じさせた点である。
既視感のある演出があり、感動を薄めてしまった。
また、後半に差し掛かった所で、カメラワークと演出のコンビネーションのキレが少し落ちてしまった。

欠点は確かにあるが、ハリウッド界の一流クリエイターが集ったからこそ完成した良質な戦争映画に違いない。
ここまで臨場感と感動を与えてくれたこの映画に否定的な評価を下すことができない。
あか

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