1秒も休めない映画。
宣伝文句の1つである「ワンカット」。
驚く事に本当にワンカットの映画。どう撮ったかは分からないが、製作者の発想力と技術力に感心する。
「ワンカット」という事は、映像は途切れる事がない。つまり、映画を10分見ると、映画内も同じ10分時間が経過する。エンドゲームの様に10分で5年経過したりしない。この現実と同じ時間の経過による、没入感はすさまじい。己がまるで、主人公と共に行動しているかの様な緊張感を強く持つ事が出来る。
ただこの没入感は欠点でもある。見ていて非常に疲れる。というのも、常に主人公視点のみで進む上、カットによる時間の経過もない為、今がどんなシーンかが分からない。
通常の映画なら、悪役や恋人のシーンの様に視点が切り替わったりする事で周囲の状況を把握出来る。また、時間の経過を表す説明で状況が分かる。
一方この映画では、観客は「現在」を見るほかなく、常に集中が必要となり、休む暇がない。
良くも悪くも休ませてくれない映画ではあるが、ワンカットという驚異的演出は一度は見るべき。そしてそれから生み出されるスリルは他の映画では味わう事が出来ないだろう。