意気揚々とIMAXへ乗り込んでおきながら、開幕数分で来るべきではなかったと後悔した。毎日、目が覚めてから眠りに落ちるまで死に怯え続けているような私にはあまりの映像体験だった。生々しくこちらに伝ってくる戦場の腐臭、埃っぽさ、泥や血のぬめり、背にべたりとはりついて離れない死の恐怖。まるで観客の自分が3人目の伝令であるかのような画作りに目眩がした。約100年の時を越えるタイムマシーン。私達にとっては飽くまで“映像体験”でしかないけれど、これが現実だった、あるいは、今も現実である人々を思い息が詰まる。
しかしまあ、関係者の方々よ、PRの手法としてワンカット“風”という宣伝文句をうたうのはやめていただきたく。本当にワンカットやツーカットで撮っているというなら構わないのだけども、そうではないと繋ぎのシーンを意識して探してしまうのでどうにも集中力が途切れるんだよ。あと、音楽が少しやかましすぎやしなかっただろうか……
