〝走れ。〟
命をかけた伝令という副題に相応しい、シンプルで分かりやすいキャッチコピー。
ドイツ軍が罠を張っていることを知った連合軍の上官は、友軍に危機を知らせるために二人の伝令兵を走らせる。二人は敵地を抜けて味方の元に辿り着けるのか…というストーリー。
本作の見どころは間違いなく全編ワンカット（風）映像だろう。
一部、暗転する場面展開こそあるものの、あまり気にならない。
だが、それ以上に感情を揺さぶられる映像ばかりだった。
さっきまで生きていた味方がみるみる青白くなって死んでいく様子、照明弾が作り出す恐ろしくも美しい異世界感、死体をかき分けて泣きながら陸に上がる壮絶さ、どれも忘れられない。
予告でも印象的だった味方の進軍を横切るように走り抜けるシーンは、間違いなく本作のハイライト。塹壕の中を進む方が安全だが、そんな時間の猶予もない。
もう手遅れかもしれない。でも、まだ間に合うかもしれない。命を顧みず塹壕から飛び出し、敵の砲火に晒される平野を疾走する姿は胸にこみ上げてくるものがあった。
ストーリーは一本道だが、要所要所の場面でシンプルに感情を揺さぶられる。
ワンカット以上の魅力を秘めた作品だった。
