メタモルフォーゼ／変身のすぺーのネタバレレビュー・内容・結末

とにかく「本物か？偽物か？」と悩む怖がり方が好き。観客のこちらから見ると明らかにおかしいというのはすぐわかると思うのだけど、それぞれの役から見るとそんな法則知るわけなく、さっき突然襲ってきた怖い家族なのか、なんか少し朗らかに見えるけど怒りはおさまったのかわからないというシチュがいい。もっとバリエーション増やしてもよかったくらい。

で、元凶となった悪魔も割としっかり説明というか姿を見せて戦うのだけど、そこは個人的には少なめでもよかったかも。つまりこの不思議な"変身"の説明であり、"変身"とこの家族の決着をつけたかったのだと思う。これが強調されることで（というかラストに据えられたことで）変身のホラー映画から悪魔とのバトル映画に切り替わった。ホラー要素の比率が下がったのが残念かな。決着つけるのも1つのストーリーなので否定するほどでもないけど、変身の恐怖にフォーカスしてほしかったという個人的な要望。

問題は家族の割とご都合主義的な感情優位な性格かな。たしかに突然豹変した家族とは気まずくなったり、途中ケンカで明らかになる実は抱えていた不満はあったのだろうけど、すり替わりが起きるとわかった以上、一人行動は危険とか考えないのかな。割と安易にフラッといなくなるから「すり替わったかも？」がつきまとう。合理的に対処して、それでも悪魔に隙をつかれる流れができてたらよかった。

少し不満多めに書いたけど、すり替わりにまつわるいくつかのギミックは結構面白かった。隣人、高級エクソシスト軍団や、中盤の父vs娘2人から始まる入れ替わりシーンとか。
もう少しコンパクトに描くか、変身して忍び寄る狡猾な悪魔の恐怖のシーンを増やすかされるとたまらなかったと思う。

とはいえホラーとしてがっつり成立してる佳作でした。ホラー好きならオススメ。